静岡県の富嶽カントリークラブはそれまでの経営会社でる東京レジャー開発株式会社を2025年2月26日に離れ、会社分割により新たに設立された富嶽カントリークラブ株式会社へ移行しました。
東京レジャー開発は当該ゴルフ場事業を新会社へ承継させ後に、親会社である日本カバヤ・オハヨーホールディングス株式会社のグループから離脱しています。これは親会社が東京レジャー開発の株式をカイトゴルフ合同会社へ売却した為です。
当該ゴルフ場の経営会社は富嶽カントリークラブ(株)になりましたが、その親会社は日本カバヤ・オハヨーホールディングス株式会社で変更ありません。なおカイトゴルフの概要は下記の通りです。
■ 本 店:大阪府大阪市北区芝田2-8-11 共栄ビル
■ 設 立:2024年7月12日
■ 資本金:金10万円
■ 代 表:代表社員 中西 高之
< 河村定夫・新社長 >
河村定夫氏が富士カントリークラブを経営する株式会社富士カントリー俱楽部の代表取締役へ、2025年3月26日に就任しました。
多くの会員から推される形で就任した河村氏ですが、河村丸の船出にあたって課題は大きく2つ有るとの事。河村氏曰く、一つ目は会員数の自然減を食い止め、正会員数を1200名ほどのクラブへ復活させると共に、二つ目は黒字経営達成だとしています。
そしてこの内容を達成する為には、「開かれた魅力あるクラブ作り」が必要だとしています。会員個々の入会動機は様々なれど、ひとたび会員になったならば、誇りと自尊心を持てるクラブが理想だと河村氏は考えています。
その為には会員がゲストを誘客し易い環境作りが大切であり、会員へのゲスト優待券の発行であったり、或いは平日のゲスト料金の見直しも必要だとしています。更には会員紹介のみでも、平日であればビジターがプレーし易くする事も、検討して行く必要があると考えています。
会員株主相互によって(株)富士カントリー俱楽部は経営されていますが、会員負担を最小限にしていく事で、現会員が友人や知人を新規会員として誘い易い環境が、最低限は整います。これは会員権市場を通じた名義書換がスムースに進展する意味合いもあり、会員数の減少に歯止めをかけられます。会員の入退会を活性化させる対策も、新年度に入り協議中との事です。
クラブ再建にあたって河村新社長の声を一部届けましたが、背負うものが大きい様に思われる反面、穏やかな語り口から醸し出す雰囲気は、気負うところ無く新体制の安定感を感じさせてくれました。
今後の動きが注目されます。
一社)日本ゴルフ場経営者協会(NGK)では、2025年1月15日~同月28日までの間、加盟243ゴルフ場へキャンセルに関する様々なアンケートを実施し、95コースより回答を得られました。
この95コースの中で、キャンセルに関する規程を設けているのは75%、約71コースですが、更にこの中でもキャンセル料金に関し、徴収規定を設けているのは89%の63コースでした。では実際にキャンセル料金を徴収出来ているのかと言えば、出来ているコースは82%に過ぎず、苦戦している姿が垣間見れます。
どの様な手法で請求しているのかと言えば、①請求書を郵送 ②対象者が再来場時に徴収 ③電話依頼と言う3手法が多くを占め、スマホへのショートメール、SNS利用などは僅かです。実際の徴収手段としては、❶銀行や郵便局を通じての振り込み ❷再来場時に現金で徴収と言うこの2点が、ほぼ全てと言える状況です。クレジットカードや電子マネーなどは、少数派です。
ゴルフ場によるキャンセル料徴収が進んでいない現状は、「手間がかかる」事を第一の理由に上げており、またキャンセル料請求はクレームが来る、再来場しなくなる、などを懸念しているゴルフ場が多いのが分かります。
どのゴルフ場にとってもキャンセル問題は大きな悩みの種になっていますが、この度のNGK調査資料は対策を練る上で欠かせない資料になったと言えます。なおこの資料は、NGK加盟全会員へ配布されたとの事です。
日本ゴルフ場経営者協会(NGK)は2025年4月に入り、外国人材の受け入れが加盟ゴルフ場にて順調に進んでいる事を明らかにしました。
ベトナム国立農業大学の卒業生8名(男性6名、女性2名)を対象に2024年6月下旬、NGKは現地へ赴き説明会を開催して来ました。その流れから女性2名が2024年11月に我国へ入国し、長野県の施設にて1ヶ月間の研修を受けた後、同年12月には関東のNGK加盟ゴルフ場でコース管理業務に就いています。
2025年2月初旬に入国した男性2名は、上記女性同様に就業知識教育を経た後に3月初旬に関西のゴルフ場へ、また2月下旬に入国した男性4名は同様の手順を踏んで、3月下旬に関東のゴルフ場で就労しています。就労先は全てNGK加盟のゴルフ場ですが、正副加盟240コースほどの中で、今回のトライアル事業へ積極的に関与し、手を上げた3コースが選ばれています。
NGKではゴルフ場業界での人材不足を外国人材で補うべく、「技術・人文知識・国際業務」制度を活用し挑戦しており、今回の就労についてはトライアル事業と位置付けています。ゴルフ場業界に資格制度が無い中、入管法上から脱法行為にならない為には、この様な手法に限られて来るのが現状です。
今回の8名が今後どの様に日本社会で定着して行くのか、推移を見守る必要が有りますが、将来的には母国から家族を呼び寄せたり、帰化する事も選択肢としては有り得ます。或いは日本で得られた知見を基に、母国でゴルフ場業界発展へ尽くす方も、出て来るのかも知れません。
NGKでは今回のトライアル事業に手応えを得ており、今後更にこの事業を継続して行く方針です。
山梨県の下部温泉郷ゴルフクラブは2025年4月2日、同クラブのWEBサイトにて、2025年5月31日をもって閉場する事を、『お知らせ』として明らかにしています。
当該クラブの原点は、1995年5月に開場した『身延ゴルフ俱楽部』ですが、当初経営していた身延ゴルフ俱楽部株式会社は、2005年2月9日に甲府地裁より破産宣告受けた関係から、2007年4月に株式会社身延山が経営する身延山カントリークラブとして再出発していました。
2023年にはゴルフ場名を下部温泉郷ゴルフクラブへ変更すると共に、経営会社の商号も2023年10月20日に同名称へ変更していました。なお同クラブ関係者によれば、跡地利用については明確には分からないとしています。
群馬県の伊香保カントリークラブを経営する株式会社伊香保カントリー俱楽部は、2025年3月28日に2024年度(第67期)決算を公表しました。その概要は、下記の通りです。
回次 | 第64期 | 第65期 | 第66期 | 第67期 |
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売上高 | 187,841千円 | 222,105千円 | 226,350千円 | 239,486千円 |
経常利益 又は経常損失 | △113,367千円 | △106,382千円 | △112,378千円 | △94,121千円 |
当期純利益 又は当期純損失 | △112,474千円 | △106,085千円 | △111,037千円 | △94,330千円 |
不順な天候から営業日数が前期比38日減少し305日になると共に、来場者数も前期比506名減少し10,271名になりました。しかしながら売り上げは、前期比13,136千円増え239,486千円となっています。
営業費用、販管費、人件費などが減少し、売上総利益アップに貢献したものの、結果は当期純損失94,330千円を計上する事になりました。この様な現状を克服すべく課題は入場者増加対策であり、オールキャディ付きのプレースタイルを堅持しつつ、伊香保温泉宿泊客へ利便性をアピールし、新規プレーヤーを開拓して行くとしています。
この様な事業方針を堅持するものの実態としては非常に厳しい状態であり、今後企業として継続して行けるのか疑義を生じさせているとしています。何故ならば2004年12月期以来連続して営業損失が発生しており、714,332千円の債務超過状態だからです。
資金面では関連会社の高砂企業株式会社より、2025年度に於いて100,000千円を短期借入する予定としています。
以上は有価証券報告書を咀嚼してのものです。
日高カントリークラブを経営する株式会社日高カントリー俱楽部は2025年3月31日、2024年度(第66期)決算を公表しました。その概要は、下記の通りです。
回次 | 第63期 | 第64期 | 第65期 | 第66期 |
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売上高 | 1,044,284千円 | 1,072,102千円 | 1,021,603千円 | 1,017,981千円 |
経常利益又は経常損失(△) | 40,808千円 | 16,096千円 | △79,417千円 | △74,575千円 |
当期純利益又は当期純損失 | 27,593千円 | 5,743千円 | 30,532千円 | △98,187千円 |
昨年27ホールコースの当該クラブへの来場者は、会員34,843人、ゲスト15,009人の合計49,852人でした。営業日数が対前年比11日減少した事もあり、来場者総数も対前年比2,053人減少しました。とは言え売り上げは第63期より4期にかけ、10億円以上を達成しています。その売り上げの構成を前期に絞り見るならば、下記内容になります。
■ 年会費及びロッカー収入 190,054千円 構成比18.7%
■ プレイ収入 550,010千円 構成比54.0%
■ 食堂売店売上高 128,155千円 構成比12.6%
■ 名義書換料 129,500千円 構成比12.7%
■ その他の収入 20,260千円 構成比2.0%
なお会員権の名義書換件数は、4.2%増加し125件になりましたが、前期途中にて名義書換料を100万円から200万円へ改定していますので、金額と件数は単純に反映はしていません。
なお前期はハウス内の設備投資、及び酷暑対策からコース管理費用がかさんだ事により、経常がマイナスになったものの、今期は会員の年会費改定や会員権の名義書換料改定などから、当該クラブでは増収が見込めるとしています。
関東エリアで6コースを経営する株式会社山田クラブ21は2025年3月31日、2024年度(第27期)決算内容を公表しました。概要は下記の通りです。
回次 | 第24期 | 第25期 | 第26期 | 第27期 |
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決算年月 | 2021年12月 | 2022年12月 | 2023年12月 | 2024年12月 |
売上高(千円) | 3,764,424 | 4,151,255 | 4,361,953 | 4,521,167 |
経常利益(千円) | 360,345 | 353,873 | 412,097 | 480,197 |
当期純利益(千円) | 263,010 | 248,339 | 279,820 | 324,232 |
この決算の裏付けになって各ゴルフ場の内容は、下記一覧の通りです。
ゴルフ場名 | 営業日数 | 総来場者数 | 営業収入 |
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万木城カントリークラブ | 360 | 72,415 | 766,948千円 |
日立高鈴ゴルフ俱楽部 | 356 | 33,907 | 237,238千円 |
南茂原カントリークラブ | 358 | 51,712 | 731,037千円 |
レイク相模カントリークラブ | 361 | 48,242 | 746,850千円 |
平成俱楽部 | 362 | 57,372 | 945,197千円 |
山田ゴルフ俱楽部 | 360 | 50,888 | 714,927千円 |
順調に推移した売り上げと結果の様に思われますが、年間来場者数の目標は316,210人であり、前期の実績である314,536人は若干未達だったとしています。
当該企業では、今後更に「他コースとの徹底した差別化」と「顧客ニーズに合った営業企画の提供」により、営業収入の拡大に努めたいとしています。
宇都宮カンツリークラブを経営する株式会社宇都宮ゴルフクラブは2025年3月27日、2024年度(第65期)決算を公表しました。概要は下記の通りです。
回次 | 第62期 | 第63期 | 第64期 | 第65期 |
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売上高 | 326,002千円 | 344,045千円 | 410,034千円 | 425,040千円 |
経常利益又は経常損失 | 11,270千円 | 7,711千円 | 38,045千円 | 22,674千円 |
当期純利益又は当期純損失 | 9,733千円 | 7,325千円 | 38,763千円 | 16,150千円 |
売上高は前期比3.7%増えたものの人件費や販管費が増え、結果は上記の通り425,040千円になりました。売上高増の内訳の一つとして、来場者の増加が上げられます。前期比1,846人増加し、年間42,524人になりましたが、そのプレー収入は280,369千円になります。
更にもう一つの要因として、東京電力パワーグリッド株式会社への太陽光発電による売電事業が順調に稼働し、前期比5.1%増え売上高が62,668千円になった点も上げられます。
売上高を構成する要素としては、その他に会員の年会費収入が54,872千円、売店収入12,803千円、食堂運営手数料収入14,326千円などが上げられます。
順調に推移した2024年度だった様に思われますが、当該企業は預託金償還問題が、事業リスクとして内在している事を指摘しています。最後に決算書からこの部分を、下記かっこ内へ抜粋し紹介して終わります。
『昭和51年に、額面270万円と540万円の預託金会員を募集いたましたが、当該預託金の償還期限は既に到来しております。当事業年度末現在、額面270万円の会員権67口分、額面540万円の会員権1口分の会員が在籍しており、これらの会員の預託金は償還されておりません。このうち多数の会員より返還請求があった場合、当社の財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。』
府中カントリークラブを経営する株式会社府中カントリークラブは2025年3月28日、2024年度(第74期)決算内容を公表しました。その概要は、下記の通りです。
回次 | 第71期 | 第72期 | 第73期 | 第74期 |
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決算年月 | 2021年12月 | 2022年12月 | 2023年12月 | 2024年12月 |
売上高 | 762,597(千円) | 827,994(千円) | 843,382(千円) | 781,818(千円) |
経常利益 | 35,814(千円) | 8,242(千円) | 30,782(千円) | 26,593(千円) |
当期純利益 | 16,578(千円) | 231(千円) | 16,638(千円) | 15,405(千円) |
当該法人は事業等のリスクを、次の様に理解しています。決算書を一部抜粋し紹介しますが、かっこ内がその内容になります。
『当社は営業損益で赤字が続いており、最終損益が営業外収益である名義書換料に左右される状況にあるため、名義書換件数が大幅に減少した場合、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性が有ります』
ではその名義書換料の推移は前期どの様な結果になったのかと言えば、60,900千円増により合計金額が302,413千円になったとの事。この数字には正会員および平日会員、更には法人内の登録者変更料も含まれていますが、大幅に増加したとしています。
しかしながら1~2月時に、7番と10番2ホールの改修工事を行った事から、16ホール営業を余儀なくされ、これに関連し貸切営業や臨時営業を断わらざるを得ず、来場者数は2,974名減少し38,913名になりました。この為に売上総利益は、前年比61,638千円減少し734,332千円になりました。
当該クラブの来場者は、会員及び会員が同伴或いは紹介するゲスト、その様な構成になっており、不特定プレーヤーを対象にしていない為に上記来場者数と売り上げになりましたが、ある意味会員制クラブとしては必然的な結果だったと言えます。
2025年に入り当該クラブをめぐる会員権市場の傾向は、入会希望者が多く旺盛な買い注文に比べ退会(売却)案件が少なく、会員権価格は少しづつ上昇しています。