『マイナビABCチャンピオンシップゴルフトーナメント』を主催する朝日放送テレビ株式会社と、主管の一般社団法人日本ゴルフツアー機構(以下JGTO)は、共同で7月28日本年度同大会の中止を発表しました。
同大会は11月5日に初日を迎える予定でしたので、約3ヶ月前倒しでの発表となりました。同大会へ至るまでの日程では、5試合がCOVID_19対策方針を未だ明確にしていません。この様な中この5試合を飛び越え、いち早い中止方針の決定となりました。
この結果、本年開催予定25大会の内、15大会が中止になりました。残すところ9大会は開催の見込みがあるものの、予断を許さない状況に変わりは有りません。トーナメント中止が相次ぐJGTOですが、部外者ながら心配になるのは、何と言ってもその台所事情では無いでしょうか。
JGTOの財政基盤は、トーナメント開催時の出場選手による「トップオフ」と言われる拠出金、更にはQTへのエントリーフィ、この大きな二本の翼で成り立っていると、一般的に言われています。トーナメントが中止になる事は、少なくともこの片翼が傷つき機能し辛い状態な訳ですから、ダメージは相当大きいものと思われます。
この様な状況から、組織が存立し得るのか否かの危機状態なのでは、とうがった見方をしてしまいがちです。この様な時だからこそ、リーダーには不安を一蹴させる様なパフォーマンスを、期待したいものです。

< 京都大学大学院特定教授・上久保靖彦氏 >
日本で男女合わせたゴルフのレギュラートーナメントは、それぞれ1試合のみが開催され今日に至っています。異常事態が進行しているのは、事ゴルフに限定した話では無く、社会全体が萎縮状態にある事でも理解出来ます。この大きな要因はCOVID_19によるものであり、この件に関し京都大学大学院・上久保靖彦特定教授は、7月27日都内会場で行われた会見で次の様に語っています。
- 2019年12月13日頃に中国からコロナS型、2020年1月13日頃からコロナK型が日本へ入って来た。S型、K型共に人の自覚症状は殆ど無し。
- これは2019年11月~2020年3月9日迄、184万人の中国人が日本へ入国した事、更にインフルエンザの流行曲線を解析する事で説明可能。GISAID(ジーサイド)の解析で、日本は既に集団免疫状態に達したと理解。
- この後、武漢の変異Gが入って来るものの、K型がT細胞を活発化させ、武漢の変異Gと対峙する事が出来た。この点が欧米に比べ、被害者を少なく出来た要因。
- 7月に入り東京都の陽性反応者は多い。これは集団検査で、既に免疫を獲得した者への結果でしかないので、これで症状が悪化して行く事は少ない。
今回この会見を設定した一般社団法人日本平和学研究所・理事長の小川榮太郎氏は、この様な知見に基づき次の様な提言を発しております。
1.曖昧な情報、非専門家的見解の氾濫による社会的危機状況下、国は適切な情報を開示すべき。
2.ソーシャルディスタンスや三密対策はエビデンスが無く不要、またマスクも不要。
3.集団検診は既感染者の再曝露でありクラスター探索不要。
この提言は9項目に及んでいますが、紙面の関係から上記3項目にて省略させて頂きます。今回の上久保教授による集団免疫説は、現在進行している日常のマスク姿に3密対策が如何に無意味であるかを、端的に指摘したものとなっています。上久保説が現在の疲弊したゴルフ業界へ、大きな一助となり得るのか否かは、今後多くの関係者による努力にかかっていると思われます。
群馬県の赤城国際カントリークラブを経営する株式会社赤城国際カントリークラブでは、2020年6月26日山本清二氏が新社長へ就任いたしました。
山本氏の前職は、東証一部上場の株式会社東和銀行における常務執行役員であり、営業全般を本店にて統括されていたとの事です。前社長の片山氏も同銀行の出身である事から、当該ゴルフ場の代表職は同銀行による指定席の様でも有ります。
一早く当該ゴルフ場の取締役支配人へ就任していた塩野滋利氏も同銀行出身である事から、会社と現場のトップいわゆる2トップを銀行出身者で占め、揺るぎない体制が構築されていると言えます。ちなみに新体制は、下記の通りです。
役職 |
氏名 |
|
代表取締役社長 |
山本 清二 |
新任 |
取締役支配人 |
塩野 滋利 |
再任 |
取締役コース管理部長 |
小野里 亘 |
再任 |
監査役 |
植井 博之 |
再任 |
就任間もない山本社長によれば、「安売りスパイラルからの脱却」これ無くして、ゴルフ場産業を浮上させていく術は無いのではと話されており、今後どの様なプランが出されて来るのか、大変注目されます。
長野県の長野京急カントリークラブでは、2020年4月1日より、会員制の内容が変更され運営されております。変更された内容は、会員権に関するものです。
此れ迄当該クラブの会員権は預託金が有り、会員権市場などを通じ名義変更する事が可能でした。しかしながらこの名義書換手続きを、基本的には一切不可としたのです。クラブでは会員1,155名が有する会員権の預託金について全額返還すると共に、継続意思のある会員約960名へは無額面のプレー会員権を発行しました。
この一連の流れを見ますとある意味一度クラブが解散され、無額面会員にて再構成されたと言えるのでは、無いでしょうか。これは当該クラブ設立当初のコンセプトと、経営実績が空回り或いは乖離した事によるものです。この度の手続きにより、今後は継続会員を大切にしながら、地域密着型のゴルフ場経営を推進していく事になります。
振り返れば今回この変更は、昨年10月頃に会社方針として決定され、会員へは同年12月頃に告知されております。年を越した2020年に入り具体的な手続きが終了した事により、4月新たなるスタートとなったのです。近年まれに見るドラスティックな改革ですが、これも一重に京浜急行電鉄と言う大企業を、経営母体にしているが故に可能とさせた離れ業です。
なおこの度の変更により、これ迄既存会員が有していた副登録者制などは廃止され、新呼称である「会員A」と言う正会員のみに集約されました。ちなみに個人会員で相続が発生、或いは法人の合併などが生じた場合、法的権利者への名義変更は可能としております。
静岡県の富士小山ゴルフクラブでは2020年9月1日より、会員権の名義書換料を従来の半額で受け付ける事になりました。これは6月19日に開催された理事会で、決議された内容ですが、その概要は下記の通りです。
手続き内容(金額は税込表記) |
通常料金 |
キャンペーン |
個人及び法人正会員入会 |
1,100,000円 |
550,000円 |
個人会員権の親族継承(2~3親等内) |
550,000円 |
275,000円 |
1親等以内へ個人会員権の譲渡 |
275,000円 |
137,500円 |
法人会員の登録者変更 |
660,000円 |
330,000円 |
今回このキャンペーンにより同クラブが、獲得しようとする効果は活性化です。高齢者を中心にしたスリーピング会員の会員資格が、スムースに新規入会者へ渡って欲しい点、更に名義書換料が半額になる事で、入会希望者の会員権取得へ至る強い動機付けにしたいと言う側面、この様な動きを同クラブでは期待しているものと思われます。
会員権市場に於ける同クラブ正会員権の値動きを見た場合、ここ数ヶ月間は仕上がり総額200万円前後で、入会希望者は取得出来ていたと思われますが、今回の一時的キャンペーンは今後どの様な相場展開をもたらすのでしょうか。
恐らく入会者の仕上がりコストは、以前と大きく変化はしないのでは無いかと思われます。何故ならば名義書換料が半額になる反面、会員権相場は若干値上がりして行くと思われるからです。いずれにしても退会者にとっては、売却し易い環境が整う事になります。
なお同クラブによれば、この決議内容を在籍会員へ告知すべく、7月16日に書面を発送したとしております。同クラブにとって半額キャンペーンは、今回で実質2度目の実施に成りますが、読めないのはCOVID_19の影響です。キャンペーンが好結果につながる事を期待したいものです。
2020年7月18日(土曜日)の早朝6時、「朝日新聞DIGITAL」が配信した『女子ゴルフ界は「非常にいびつ」最高額大会の会長が語る内情』と言うタイトルの記事は、非常に考えさせるものが多く、また現在のゴルフトーナメントへ投げかけた問題は大きいと言えます。
記事はインタビュー形式で構成されており、応えているのは今年JLPGAトーナメントの開幕戦となった『アース・モンダミンカップ』を主催した、アース製薬株式会社の大塚達也会長です。その記事のURLは次の通りですが、ご一読される事を是非お奨めしたいと思います。https://news.yahoo.co.jp/articles/3a1e83f4fd05e1effc6189e4c79a9816ac211af4
念の為この内容を下記へ、要約しておきます。
1.大会は初日第1組から4日間、You Yube でインターネット中継。
2.費用は従来のTV放送よりも格段に安価。
3.視聴者数は合計868万人。雨天順延となった月曜日の最終戦は約24万7千人が視聴。
4.今回は無料配信、将来は視聴者1アカウント500円ほどの負担で放映出来るのでは無いか。
5.此れ迄の放映には数億円の費用を求められ、番組の著作権はTV局のものとなっていた。
6.欧米ではTV局がゴルフ協会から放映権を買って放映。
最後に大塚会長は、「放映権、入場料、グッズ販売」などでプロスポーツが、ビジネスとして成り立つ事が大切だと締めくくっています。これはある意味従来よりJLPGAの小林浩美会長が、放映権について主張して来た点と符合する部分も有り、大塚会長の主張は事実をもって援護射撃、追認した形になったと言えます。
いずれにしても2020年、COVID_19がもたらした惨禍が、ゴルフトーナメントの世界に於いても、新しい価値観とシステムを、生み出そうとしているのではないでしょうか。その胎動とも読み取る事が出来ます。今回の『アース・モンダミンカップ』の大きな試みと成功は、次のステージへの移行を示唆している様にも思われます。
東京都下の八王子カントリークラブでは、2020年7月12日より新規入会法人について、これ迄は徴収して来なかった法人会員登録料を新設し、対応する事になりました。その金額は税込550,000円ですが、これは同日開催された理事会に於ける決議事項です。
当該クラブに於ける法人会員は2名記名である事から、入会を希望する法人は、正会員2口を市中で取得する必要が有ります。当該クラブは株主会員制ですから、2株券を2口つまり合計4株券を取得する事で、法人会員として入会申請する前提条件が整います。
取得した会員権はそれぞれ1口づつを、記名者となるA氏及びB氏の個人名義へ変更します。この時クラブへは一口につき名義書換料税込2,200,000円と、入会預託金2,000,000円の合計4,200,000円を支払う事になります。2口ですから都合8,400,000円に成ります。
この状態では単なる2口別々の個人正会員名義に過ぎませんので、これを法人名義へ変更する必要が有ります。従来この手続きについてクラブでは、手数料を徴収する事は有りませんでした。しかし今回この手続きに、550,000円の手数料が必要だとしたのです。
今後入会する法人にとっては入会手続き時のコストが、従来よりも増大した事になります。とは言え当該会員資格を長期間にわたり保有する法人に取り、将来起こり得る登録者変更について、1名110万円で済む事は、個人名義の会員権を法人として所有し、度々名義変更を行うであろう事を想定した場合、単純比較ではあるものの経済的メリットが大きいのです。
ところで当該クラブでは、法人会員の新規入会条件を、上場企業或いはそれに準ずる企業としております。この基準に該当しない場合、事前審査にて対応との事です。

< ミッツ棒を持ったミッツポリス >
一般社団法人 国際スポーツ協会(ISPS)の半田晴久会長は、2020年7月15日都内会場にて記者会見を行い、先に発表していた『ISPS HANDA コロナに喝!! シニアトーナメント』に続き、その他3試合の開催を明らかにしました。
A、『PGAシニアツアー プロゴルファー誕生 100周年記念』
・8月21日(金)~23日(日)_会場は群馬県の赤城ゴルフ倶楽部
・賞金総額5,000万円(優勝賞金1,000万円)_シニアの参加者104名
B、『ISPS HANDA 医療従事者応援 ジャンボ尾崎記念チャリティトーナメント』
・9月14日(月)~15日(火)_会場は千葉県のGOLF5カントリー オークビレッヂ
・賞金総額3,000万円(優勝賞金600万円)_出場人数104名
C、『IAPS HANDA 医療従事者応援!! チャリティレディーストーナメント』
・8月3日(月)~4日(火)_会場は静岡県の伊豆大仁カントリークラブ
・賞金総額3,000万円(優勝賞金600万円)_出場人数112名程度
これら試合へ一般の方の入場は無料であり、尚且つISPSではフェイスシールドとマスクそして手袋を、関係者及び来場者全員へ無料で配布します。更に3密になり易い状況に対しては、「ミッツポリス」が出動し注意喚起を行うとしております。
半田会長曰く「皆コロナで弱気になっている、喝だ!!」、万全の体制でトーナメントを開催し、やれば出来る事を証明したいと言うのが、半田会長の心意気と考えです。そして何かあったならばISPSが責任を取ると豪語するものの、その背景には大いなる自信を垣間見る事が出来ます。
自動車事故は日常茶飯事であるものの、その事で自動車文化を無くそうと社会は言わない、この点を引き合いに出しながら半田会長は、上手にコロナと付き合って行く必要があるとしたのです。更に誰かが観客を入れたトーナメントを開催しなければ、何時になっても始まらない、と日本人の追随気質を揶揄しながらも、自らが手本を示すのだと言う、会長の気迫が伝わって来る会見でも有りました。
なお会場にはPGA 倉本昌弘会長、ATP ツアー代表の鴇田勇一プロが同席し、リモートで尾崎将司プロが登壇、その後大山志保プロがビデオメッセージで登場すると言う、豪華な顔ぶれの会見でした。
ゴルフスタジアム事件を戦い続けていたプロゴルファーの阿部進さんが、2020年7月4日の夕方お亡くなりになりました。昨年3月26日に東京地裁での債権者集会時、阿部さんをお見受けして以降、行動の機会は少なくなっていました。
難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)を患っていた阿部さんは、昨年の債権者集会当日、ヘルパー帯同の車椅子で参加されていたのですが、病の進行が速かったのか帰らぬ人となってしまったのです。
今年51歳を迎えようとしていた阿部さんの不屈の闘いとその生き様は、日本ゴルフジャーナリスト協会会長の小川朗氏が、Webサイトの(パーゴルフ+PLUS)で詳しく報告しております。タイトルは、< GS問題と戦い続けた阿部進さん、ALSで逝く >です。
その記事のURLは次の通りですので( https://www.pargolf.co.jp/special/124017 )、コピーし閲覧して頂ければ幸いです。ご冥福をお祈りします。合掌。
2020年7月8日内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室は、7月10日以降の外出及びイベントなどの開催について、自粛緩和は既定方針通りであるとして、各関係団体へ『7月10日以降における都道府県の対応について』と題した通知を出しております。
COVID_19感染については東京都が4日連続で200人を超す勢いであり、先行き不透明感が増す中、推進室による「規定方針通り」とのアナウンスですが、一抹の不安感を拭えないのが正直な心境では無いでしょうか。
とは言え5月25日に於ける緊急事態宣言解除以降、社会の自粛緩和傾向は日増しに強まっており、経済活動の萎縮傾向を脱却する為には、この行動は必須なのだと思われます。肝心な点は、何もかも従来通りで良い訳もなく、そこには創意工夫が何よりも求められています。
この度の通知で推進室が掲げた注意点の中、イベントなどの開催にあたっては、下記内容を特に留意しておく必要が有るとしております。
1、開催人員は屋内外とも5,000人以下。
2、特に屋内では収容定員の半分程度が目安。
3、屋内で特に定めがない場合、充分な距離を確保。
ところでこの様な基準を守っても感染拡大の兆候が見られたり、或いは集団感染が発生した場合は、国と連携し無観客化や中止の判断を、イベント主催者は速やかに行う必要があるとしております。なお推進室は接触確認アプリの導入と、参加者の連絡先確保の必要性を強調しています。
今回の推進室による注意喚起は、「気をゆるめてはならない」との強い警告だと思われますが、あるイベント主催者曰く、観客数が半分では費用負担が大きくイベントが成り立たない、との声もある事から、今後様々なイベントが急速に開催されるとは考え辛いと言えます。