静岡県の富士カントリークラブ(以下富士CC)では2017年4月1日より入会保証金の返還について、新たなるシステムで望む事になりました。これは同年3月に開催された、理事会にて決議された内容との事です。入会保証金とは当該クラブへ入会手続き時に、名義書換料とは別に入会申請者が支払ったお金の事です。これは支払った会員が将来退会時に、クラブより返金される事を約束された性格のものです。
これまでは入退会の手続き時に一括で返金してきた富士CCですが、4月以降は分割にて返金するとしたのです。その返金内容は、下記の通りです。
1.100万円以下は一括返金。
2.150万円は初年度100万円、次年度50万円。
3.200万円は初年度100万円、次年度100万円。
4.300万円は初年度100万円、次年度100万円次々年度100万円。
富士CCでは1968年に30万円をもって導入開始された同制度ですが、様々な金額の変遷を経て2004年5月には一旦この制度を廃止しておりました。しかしながら10年後の2014年4月には復活させ、今日に至っておりその金額は30万円です。この金額では入会保証金返金の原資として、いかにも心細いものであり充分では有りません。
富士CCが入会保証金を分割で退会者へ返金すると言う事は、とりもなおさず資金不足である事を露呈したに等しく、この様な事態を招いた要因の一つには、入会保証金の額を時代の移り変わりと共に変化させて来た事だと言えます。一貫して30万円にて変動が無ければ差額が生じる事も無く、その返金原資は次の入会者より調達出来る訳ですから、この様に苦しむ事は無かったと言えます。
この度の入会保証金返金対象者は、新規入会者へ自らの会員権(当該クラブでは株券)を譲渡し、名義書換手続きを行う事が出来る会員のみです。これが大前提であり入会保証金所有会員が、クラブへ単に退会届を提出すると言う手続きで事態は進展しません。では年間どれ程の名義書換件数が、有るものでしょうか。
法人内の登録者変更手続きを除いた場合、恐らく年間を通じてそれ程多く無いだろうと予想してしまうのは、会員権市場の動向から充分判断出来るからです。これでは退会を希望する会員の意にそぐわないばかりで、流通が阻害されていると言われても、何ら反論出来るものでは無いと言わざるを得ません。
クラブでは本年6月末まで65万円と消費税にて会員募集を行っていますが、会員権を市場から取得して入会手続きをする場合、クラブへの支払金額は110万円と消費税になります。流通している会員権価格を1万円と見積もったとしても、総額の入会コストは会員募集の方がとても安価なのです。この逆転現象は何を意味しているのかと言えば、クラブ自身が入会者によるクラブへ支払う適正金額は65万円だと、自ら宣言している様なものです。
会員権の流通を促進させクラブを活性化させていく為には、新規入会者によるクラブへ支払うコストを軽減させて行く事であり、この内容を朝令暮改的に安易に改定しない事が大切だと言えます。クラブの年間予算から逆算して、名義書換料は幾らで無ければならない等と言う机上の計算では無く、現実を直視した改定が今求められていると言えます。