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ゴルフ、この一冊

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風が草木にささやいた

☆ 著   者  池部 良
☆ 発 行 者  田尻 勉
☆ 発 行 所  幻戯書房 (http://www.genki-shobou.co.jp/)
           〒101-0052
            東京都千代田区神田小川町3−12
☆ 連 絡 先  03−5283−3934 (TEL) / 03-5283-3935 (FAX)
☆ 初版発行  2013年6月9日  (税別 定価 2,200円)

☆ 著者略歴  1918年 画家池部鈞の長男として東京大森に生まれる。
           1941年 立教大学文学部英文科卒業後、東宝撮影所に入社して 「闘魚」 で
                俳優デビュー。
                 翌年、陸軍に応召され、南方のハルマヘラ島で終戦を迎える。
                復員後は文芸映画を中心に二枚目スターとして活躍。
                   「破戒」、「青い山脈」、「現代人」、「坊ちゃん」、「雪国」、「暗夜行路」、
                   「乾いた花」、「昭和残侠伝」など出演作は二百本近くに及ぶ。

           1991年 エッセイ集『そよ風ときにはつむじ風』で日本文芸大賞受賞。
                 文筆家としても高い評価を得て
                    『風が吹いたら』
                    『風、凪んでまた吹いて』
                     『21人の僕』 
                    『そして夢にはじまった』
                    『ハルマヘラ・メモリー』
                    『言伝て鍋』
                    『人魚のニキビ』
                    『天丼はまぐり鮨ぎょうざ』 をはじめ多数の著書を刊行。

           2010年 逝去




「   かなり前、永い間続いた「電通」主催の「でんかっぷ」と称される大ゴルフコンペがあった。
    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 
    わが家に、夜も遅く電話があった。
    「俺だけど、良ちゃん?」という低い優しい声。俺って名前は聞いたことがない。ちゃんといえよと、些かむっ
          としたら、
            「俺、岡本。監督の喜八」と言う。
            ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
            「俺でもさ、でんかっぷに出られるかな?」と言う。
            「喜八ちゃんのことだ。有名な監督だもの。当然、出られるよ」

            ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・    」

            ━ ( 諸行無常 岡本喜八監督の包帯 ) より抜粋 ━




■ 本書に関して

 笑いの連続だ。
 私の読書タイムは、帰宅時電車の中。腰かけるや否や本書を取り出し、メガネをかけ、読書
体制に入る。
 又、笑ってしまうのではないか、との危惧を抱きながら、読みかけの所に有るクリップを外す。
 そして1ページ戻り、前回読み終えた部分を、少しだけ読み返す。前回の記憶を取り戻す為だ。

 ダメだ。笑ってしまう。
 向かい側の席に座っている人達が、私を見て不機嫌な顔をしている様に見えて仕方ない。
 悟られまいとして、無理やり顔を造る。若干開いた口を、さも怒った様に取り繕うのだが、ダメ
だ。

 本書の出版は2013年。
 著者がお亡くなりになったのは2010年。
 著者は生前、ゴルフダイジェスト社発行の (Choice) へ、短編を連載していた。1999年1月
号から2010年10月号まで、お亡くなりになる直前まで、75編を書いていたのだ。
 その中から48編を選んで、本書が作成されている。

 著者は有名な俳優。
 著者の長い役者生活の中でゴルフに関わった人達を、著者の江戸っ子気質からの視点・感
想も加えながら、ユーモラスに著者は語っている。
 日本の社会に戦後、ゴルフが入って来た当時の様子も、手に取る様に理解出来る。

 本書の楽しさは、読んで頂く以外に無い。
 なにか今流行のTVショッピングの語り口の様になってしまう自分が怖い。
 致し方無い。

 本書の中で著者は、( 親父から受け継いだ江戸っ子気質 ) と言うフレーズを多用している。
 著者の行動は、文章としてつづられている如く、過激で江戸っ子調だとは思えない。否、思
えないどころか、大変な紳士だった様に想像してしまう。
 驚く事は、文体だ。
 著者は作家としての文体を確立している。
 まさしく江戸っ子調の文体が、そこかしこと闊歩しており、これぞ作家だ、と太鼓判を押した
くなった。

× × × × × × × × × × × × × × × × × × × × × × ×

尚、本書は好評に付き発売中との事。(2015年3月)
☆ 株式会社 幻戯書房
  〒101-0052
  東京都千代田区神田小川町3-12 岩崎ビル2F
  TEL 03-5283-3934 / FAX 03-5283-3935


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