■ 本書に関して 1990年をピークとしたバブル経済は、ゴルフ業界へも様々な影響を及ぼした。特にゴルフ場 及びゴルフ会員権を巡る動きは、顕著だった。 その様な中で発生した茨城カントリークラブ事件は、社会的影響力が甚大で有り、様々な問 題を提起した。 当該事件から約20年が経過した2013年の今日、事件そのものが風化しており、簡単におさ らいしておく必要が有る様に思われる。
【 茨城カントリークラブ事件 】 茨城県高萩市を舞台に、(茨城カントリークラブ) の開発会社である常陸観光開発(株)は、 5万人以上もの会員から集めた約1,000億円の資金を、関連会社へ流用した。 1991年7月に東京国税局は、茨城CCの会員権販売代理店を脱税容疑で捜査し、そこから 会員権乱売の事実が発覚した。 事件の中心人物は、144億円の所得を隠し、約57億円を脱税したとして逮捕され、有罪判決 と成った。 当該事件は、5万人以上の被害者を発生させ、ゴルフ場は完成する事無く、又、経営会社も 倒産致した。
【 ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律 】 この法律は、上記の様な時代背景を基に作り上げられ、1992年5月13日に成立し、 同年5月20日に公布された。 ゴルフ場の開発に関係して新規に発行・販売するゴルフ会員権、或いは既存のゴルフ場が 50万円以上の募集価格で、新規に販売するゴルフ会員権を対象にした画期的な法律。 この法律が出来るまでは、ゴルフ会員権を対象にした取扱業法なるものが、存在していなか った。 2013年7月時点からさかのぼる事、過去5回に及ぶ改正が有り、その内容の殆どが他の法 律との整合性を持たせる為のもので、基本的な内容は変わっていないと言える。 注意したい点は、この法律は既存のゴルフ会員権取引と、株主制ゴルフ場の会員募集行為 に付いては、規制の対象外と成っている事だ。
本書は、ゴルフ場或いはリゾートクラブ等、会員制事業の現実を分析している。 本書の表題とも成っている、正しく (会員権商法の構図) を確認し、消費者保護の観点か ら、求められる法律を作り上げ、その内容を懇切丁寧に説明している。 本書は、ゴルフ場を経営する事業主体にとって、新規にゴルフ会員権を発行・販売しようと した場合、大切な指針に成るものだ。 又、新発のゴルフ会員権を求めようと考えるユーザーにとっても、その是非を問う大切な参 考書に成る事と思う。
ゴルフ関係者で有れば、是非、蔵書としておさえておきたい一冊。
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尚、本書は品切れに付き、重版未定との事。(2015年4月) ☆ 一般財団法人 経済産業調査会 〒104-0061 東京都中央区銀座2-8-9 木挽館銀座ビル
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